セルフヘルプ・グループ「アロー」


☆☆セルフヘルプ・グループ「アロー」 メンバーの声5☆☆

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2017/4/4


 2017年3月、「嗜癖関係の自助グループと関係者の交流会」にて
 グループ「アロー」を代表して発表したGさんより
 当日の発表内容(一部追加)です。


こんばんは。
自助グループ「アロー」から来ました、H-bと申します。どうぞよろしくお願いします。

本題に入る前に、2つ、気に留めて頂きたい事があります。

1つ目、私の人生に起こったこと、そしてそれを踏まえて、私が世の中に知って頂きたいこと等を話していると、1〜2時間はすぐに経ってしまいそうですが、今日は決まった時間なので早口な言葉の羅列で大変お聞き苦しいかと思われますが、ご了承下さい。

2つ目、私は人間の心や、嗜癖行動、家族問題などに関心があり、大学の時に、不登校の親子のグループにボランティア参加したのをはじめ、今まで沢山の方々にお会いし、お話ししてきました。
今日の内容は、そういう経験の中で、私自身が心と体で実感してきたことをもとにしたものです。意見・立場や考え方が違うという事も当然あるでしょうが、その場合は聞き流していただければ結構です。

私は機能不全家族で育ったアダルトチルドレンです。
今、家族という言葉を使いましたが、実際は家族というのもおこがましい、干渉・支配・恐怖・人間不信、にまみれた団体・集団でした。   
外から見て、どれだけ優秀で完璧で立派なロボットを製造するか、そういう工場でしかありませんでした。
そういう中で、私は物心ついた時から生き辛さを感じていました。
言葉を変えると、親・家庭・人生・世の中のすべてが怖いという事です。
そして、私の場合は、体にひどいうつ状態が出ました。例を出すと、動けない・食べれない・寝れないといった症状です。常に巨大な岩を背負っているような感じで、ここ十数年は、家の中を動くのがやっとで、まともな社会生活ができない状態です。

その割には、そんな風に見えないと思いますが、いくつか理由があります。
まず機能不全の家庭では、家族の心身よりも、世間体や見てくれを重要視します。
私の親も、他人・家族の前で絶対に弱みを見せない人間です。他人・世の中からダメな人間と思われるのが怖い、迷惑がられて嫌われるのが怖い、そういう気持ちが親や家の中に充満していました。
例えば私が生きるか死ぬかの問題を父親に言う、すると父は「つまらんこと言うな!」と怒鳴る。
そんなことが人生で何回もありました。父にとって私が生きるか死ぬかなどは「つまらない事」なのでしょう。
そして母は何を言っても「そんな事ない」と言います。私が「死ぬほど苦しい」と言っても「そんな事ない」私の思い・感情のすべてを「そんな事ない」の一言で片づけてきました。
そういう中で、私も当然、家族内で弱みを見せられない人間になりました。
正確に言うと親は「完璧であるべき我が家の中に、悩みなんか持つ弱い人間はいるべきではない。いるはずがない」と、苦しんでいる子供のありのままの状態を見ることから必死に目を背け続けてきたのです。
その影響のひとつですが、私は体のあちこちが悪くて、たくさんの病院へ行くのですが、どれだけ辛くてもお医者さんの前ではポーカーフェイスをよそおい元気そうにしてしまいます。

私が今日ここに立っているのは、機能不全家族について知ってほしいということもあります。
一般には知られていませんが、大きな社会問題だと思っています。
うつ病・依存症・嗜癖の問題・いじめ・DV・いろいろな犯罪など、すべてとは言いませんが、機能不全家族が関わっていることも多いと思っています。
皆さんの中でも経験されてきた方も多いと思いますが、私の場合も、自分や親の心の中・家庭の中に劣等感・自己否定感・恐怖感・空虚感・イライラ・怒り・孤独感・・・等が満ち満ちていました。
そしてそれらを表に出すのはもちろん、そういったマイナス感情を感じることすら「人間として下劣な、我が家の中ではあってはならない事」として許されない集団でした。ちなみにうちでは、楽しい・嬉しい・冗談を言うというような、プラスの感情すら「はしたない」として、表現する事が許されませんでした。こういうことを言うと、うちの親は「そんなことは一言も言ってない」と激しく反論します。そこなんです一番の問題は!自分達が何十年もしてきた事・言ってきた事に全く気付いていないのです。正確には必死に、まさに命を懸けて目をそらし続けているのです。詳しくはまた後で述べます。

そんな中で、もし私がお酒が好きならアルコールに依存していたかもしれません。ギャンブルにも依存していたかもしれません。薬物があれば依存していたかもしれません。そういう意味で、ここにおられる皆さんも私も、出ている症状は違うけれど同じ問題を抱えていると言えるかもしれません。
そして、世の中はでは、うつ病だ・摂食障害だ・依存症だといば、「心が弱い・我慢できない、ダメな人間だからなるんだ」などと言いますね。皆さんもそういう言葉や態度に、おそらく沢山傷ついてこられたことでしょう。でも正反対です!皆さんは、普通の人間ならとても耐えられないような状況に、長い間耐え抜いてきて、今ここにこうやって人生を少しでも良くしようと勉強しに来ている!それってすごい事だと思います。

そして、そういう方も多いでしょうが、私も自殺、あるいは親を殺そうと思ったことが人生で無数にあります。今のところは実行せずに生きてますが、それは、本当にたまたま運が良かっただけで、何かが一瞬一秒違えばそういう事もしていたでしょう。
よく子どもが親を殺したというニュースが報道されます。
「いいご両親だった」「いい家族だった」というコメントも見ます。
でも本当の意味でいい家族の中で殺人事件が起こりますか?
そしてメディアは「近頃の子は我慢できずにすぐキレる」などとも言いますね。もちろん本当にそういう子もいるでしょう。でもそこまでしてしまう子どもの心の中にどんな思いがあると思います?その子は我慢できないんじゃない!逆に普通の人には耐えられないような状況の中で、我慢に我慢を重ねてきて、その積み重なったものが、小さなきっかけで爆発してしまったんじゃないですか?
「親の心子知らず」という言葉がありますが、逆に「子の心親知らず」で、子供の心に一生寄り添おうとせず、子供の心身と人生をボロボロに破壊する親というのは実際に存在します。
そしてその中でも最も厄介な例は、うちの親のように、子供のことを一切理解していないのに、「自分は子供のことを手塩にかけて育てた素晴らしい親だ」とか「我が家は、何一つ問題のない世界一素晴らしい家庭だ」と思い込み、こうあるべきの理想論、形だけの真っ赤な嘘を世の中に必死にアピールし続ける。そういう親がいます。
社会はそういう事をきちんと理解してほしいと思います。
とは言っても、それらは家庭という密室の中で、しかも多くの場合、証拠を残さずに行われ、そのうえ小さな子供なら親と離れて生きていけないので、狂った状況に自分を適応させて生きていくしかないという悲しい現実があります。

機能不全家庭の親について、これは一つの例ですが、ある特徴から2種類に分けることができると思います。
ひとつは「不良親タイプ」
これはその名の通り、誰が見ても子供を身体的に虐待してるとか、明らかに問題がある親だと、外から見てわかりやすいタイプです。
もうひとつは「いい人タイプ (偽善者タイプ)」
家の中と外で全く人格が変わるタイプです。
うちは後者ですが、まさに二重人格と言えるような凄まじいものでした。両親二人とも、社会的に立派と言われる職業に就き、高いポストにまで登りつめ、世界中の誰より立派・優秀・完璧で、世の中の誰より道徳・礼儀・社会規範・正義を重んじ、異常なまでに他人に尽くす人間です。そういう外では神様のように思われる人間が、玄関を通ると人格が一変しました。
これはほんの一例ですが、例えば父親は、異常なまでの強迫観念・清掃脅迫・整理整頓強迫で、家の中にホコリひとつ落ちてる・水が一滴こぼれてると言っては、家にいる間中、母親を怒鳴り続けました。母親も父親を恐れ、またいい妻を演じている自分に酔って「はいはい」と従っていました。明らかに共依存の関係です。
ここにいらっしゃる方も多いと思いますが、家の中に親の怒鳴り声が響き渡るというのは、子供にとって血も凍るような恐怖体験です。
実際私も、父親の怒鳴り声にいたたまれず、夜に家を飛び出して、行く当てもなく徘徊したことは何度もあります。母親は学校の先生をしていましたが、外ではいい先生を演じている人間が、自分の子供が父親の怒鳴り声に耐え切れず、夜に家を飛び出し徘徊している事実さえ知らない。悲劇を通り超え、ブラックジョークですね。
話を父親が母親を怒鳴るという事に戻すと、それだけで子供にとって恐怖ですが、一番の問題は本人達がそれを全く自覚していないという事です。それは知らないふりをしているのでなく本当に意識に上っていないようです。「自分は家の中で怒鳴るような、そんな下等な人間のはずがない」とすべて無かったこととして何十年も目をそらし続けてきた、信じられないような世界です。しかも逆に私が真似をして少し大きな声を出しただけで、二人束になって徹底的に批判する。まさに「自分を棚に上げる」というやつです。

小学生の時に、「どうして父親は言いがかりをつけて母親を怒鳴るのか」二人の前で聞いたことがあります。父親は当然のように「何つまらんこと言っとる」と怒鳴りました。私は怒鳴られる母親を助けようと思い、そういう行動をとったのですが、その母親も「何、変なこと言っとる」と私に言いました。
(あれ?この二人はいつも困っている人は助けろと言ってるのに・・・母は困っていないの?私のしたことは間違ってるの?)ダブルバインドです。そんな中で子供の正常な感情は育まれません。

ちなみに、うちのように子供の目の前で片親が片親に身体的・言葉での暴力行為を行うことを「面前DV」と言います。面前DVは子供への心理的虐待であると正式に認められています。
その他、うちの場合は、大事な物を勝手にポンポン捨てられました。
そして父親は、子供を育てる事を、まるでサーカスの動物のように「仕込む」と言う言葉を使ったり、ゾッとします。
あと電灯すらない真っ暗な山奥に、私が2時間放置され、親は酒を飲んできたとか、行き先を言わず引っ越すなど、異常な行為は枚挙にいとまがないのですが、時間がないので割愛します。

ACや依存症の言葉でパワーゲームという言葉がありますが、まさにうちは、安らぎの場ではなく、戦いの場でした。父親は常に「うちの中で、自分が一番強く優秀で、一番正しい」と存在を誇示し続けました。小学生の私にすら自分の優越性を力ずくで認めさせようとする、極度に劣等感の強い人間でした。そして、外では怖くてできないから、家の中で正義の仮面をかぶって必死に偉ぶる、弱虫で最低の人間です。

先に二つのタイプの話を出しましたが、「不良親タイプ」の言動が子供にとって、例えばナイフで体を刺されるような苦しみだとしたら、「いい人タイプ」の親を持った子供の苦しみは、家の中に見えない毒ガスが充満しているような、何が原因で何が苦しいのか状況が全くつかめない恐怖です。
そして「いい人タイプ」の親を持った子供のもう一つの苦しみは、家の内外の人に助けを求めても、人は一切信じてくれないという事です。
私も小さい頃から出会う人出会う人に「立派で上品なご両親やね」「素晴らしい家庭やね」と言われて育ちました。そういう世の中の人々に助けを求めても「そんなはずないやろ」の一言で終わります。
真実を、世の中の誰も信じてくれない、理解してくれない、助けてくれないという最悪の状態に陥ります。

もうひとつ苦しいのは、私の妻と子の前でも両親は「いい人」を演じているので、妻子すら私のことを100%信じてくれないという事です。
妻は言います。私と親の言う事が常に何もかもが正反対なので「誰を信じていいか分からない」と。子供なら尚更でしょう。妻子にとって私は、病気で寝てばかりいて、「立派で優しい両親に反抗する嘘つき」だと見えているのかもしれません。
もちろん、そういう中で家族関係も険悪になります。

でもよく考えたら、今まで、私が何か悪いことをしてきただろうか?異常なまでの権力主義の家庭内で、親と違うことをすると、嘘つき・気違い扱いされ、自分の意見を持つことも禁じられ、親の言う事に全て従ってきました。
でもそれはおかしいと気づき、自分の人生と家族の問題点・悪習慣をしっかり見つめ、それを治そうとし始めました。すると周囲全てから、「親に反抗して、恩を仇で返すダメ人間」として徹底的に批判される。
そんな人生とてもやっていけません。

私は今まで、機能不全家族の親を批判するようなことを言ってきましたが、実は機能不全家族で育った子、つまり私も同じコインの表と裏と言えます。
恐ろしいまでの支配・管理のもと、私は十数年前まで自分の意志を持たない、親の完全なコピーロボットでした。「世代間の負の連鎖」と言いますが、私は親の生き方・考え方の悪いところをすべて受け継いだコピーでした。(だから、今、親の感じていることも、はっきり分かるのですが・・・)
その間に子供にも恵まれましたが、親の精神的支配下にあった私は、自分の子供達にもその悪習慣を無意識のうちに伝え、彼らの人生に大きな悪影響を与えたこともしっかり自覚しています。
その後私は、家庭内の問題から目を背けず直視し、少しずつ、自分と家族の人生を立て直してきました。イメージしやすいように数字を使って例えると、私の育った家庭はマイナス10000点の家庭でした。でも私の今の家庭はマイナス4000点くらいまでは持ってこれたかなと思っています。ちょっと自慢っぽい言い方かもしれませんが、マイナス10000点の家庭で育った人間が、マイナス4000点の家庭を作るって、ちょっとやそっとでできないことなんです。ここに来るまで、どれだけ大変だったことか・・・。
誰一人理解してもらえず、信じてもらえず、助けてもらえず、たった一人で地下から這い上がってきました。もちろん、自助グループの皆さんにはすごく助けられてきました。その点はすごく感謝しています。
そして私は自分の家庭の、下の世代への「負の連鎖」を可能な限り少なくするよう、日々試行錯誤しています。

今は親に謝ってほしいとか、自分のしてきたことを自覚してほしいとか、そういうことはもう求めていません。長い間こちらは真摯に親に対し働きかけをしてきましたが、まともな会話すら成立しません。
家の外では仏様のように物わかりのいい親が、また家の外ではたくさんの人間を前に立派な話をしている親が、家の中で私と話をすれば小学生レベルの水掛け論と嘘しか出てこない。人間としてまともな会話すら成立しない。もうどうしようもない人間だと身に染みて感じさせられてきました。
私は親に対して憎しみも大きいですが、それ以上に哀れな人間だと軽蔑しています。親のような人間だけにはなるまいと思ってきました。
私はただ、自分の新しい人生をスタートさせたいのです。「あなたたちのため」「家のため」などと言って、ストーカーのように執念深くネチネチ絡みつき、干渉するのをやめてください!と言っているだけです。
それを何万回言っても、父は怒鳴り、母は何百回と泣いて謝ったりするふりもしましたが、子や孫に干渉することをやめられない・・・明らかに嗜癖行動です。

これは本当に難しい事ですが、赤ちゃん・幼児・小学生・中学生・高校生、すべての子供が家庭の中で安心して暮らしていけるような世の中になることを強く願い、私も何かの力になれたらと思いお話しさせて頂きました。

 最後に皆さんに問いかけます。
     家族って何ですか?
     親子って何ですか?
     愛って何ですか?
     人生って何ですか?
 
 ご清聴ありがとうございました。



 以下、発表後のGさんの感想です

今回は、嗜癖関係自助グループの交流会において、体験談及び自分の意見を発表させて頂き、また様々な悩みを抱えておられる多くの方のお話も聞くことができました。
このような、貴重な体験をさせて頂いたことに感謝しています。
発表にあたり、時間をかけて、自分の人生と家族というものを振り返り、それらを文章化することで、より自分というものを深く知るきっかけになりました。
自助グループ「アロー」と、そこに参加されてきた方々との出会いは私にとって大切な宝物です。ありがとうございました。

2017年 3月  Gさんより 

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